最近夕方にテレビをつけると、自転車マナーについてのテーマで特集されている情報番組が増えたような気がします。
内容は大体マナー違反をした運転者に、警察の方が指導するといった内容のもので、“誰が見ても一目で違反と分かる危険な運転”にスポットを当てたものが多い感じです。
実際に自転車ルールは、今までグレーゾーンだったものが違反になったり、警告で済んでいたものが罰金の対象になったりと、年々厳しくなってきています。
今回は、現在の自転車のルールにスポットを当てて解説していきます。
自転車ってそもそも何に当てはまるの?
自転車は軽車両
ご存じのかたも多いと思いますが、自転車は「軽車両」にあたります。
軽車両とは、主に原動機(エンジン・モーターなど)を持たない車両のことを指します。人力や動物の力を借りて動かすものととらえたほうが分かりやすいかもしれません。
出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)道路交通法第二条十一項
自転車の種類
自転車と名の付くものはいろいろあり、種類によって守るルールも変わってきます。そこで大きく4つに分けて、図にまとめてみました。
一般的な自転車
ママチャリはもちろん、スピードが出やすいロードバイクも完全に人力で動かすため、軽車両のルールが適用されます。
電動アシスト自転車
原動機は付いていますが、あくまで人力の補助としての役割であることから、一般的な自転車と同じ軽車両のルールが適用されます。
出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp) 道路交通法施行規則第一条の三
原動機付自転車
これは説明不要ですよね。「何で自転車って名前がついてるの?」というのは原付が世に出た当初、 “自転車に後付けでエンジンを取り付けた構造” になっていたためです。
原付には性質上、原付独自のルールが適用されます。
フル電動自転車
別名「ペダル付原動機付自転車」と呼ばれているもので、ペダルを漕がなくても走行が出来てしまうものになり、別名の通り原付と同じルールが適用されます。
販売されている多くのものが、公道での走行ができません。これは原付と同等の装備が必要になるためで、走らせようとしたら見た目が本当に “ベダルが付いた原付”になってしまいます🤣
加えて原付と同じく、自賠責保険や原付免許なども必要になってきますので、あくまで自宅の庭で走らせる程度にとどめておいたほうが無難です。(そんな広い庭どこにあるんだ…)
出典 : 警視庁ホームページ 「電動自転車」って自転車?バイク? 警視庁 (tokyo.lg.jp)
変わりゆくルールと取り締まり
自動車安全利用五則の改定
2022年11月1日に改定されたルールで、守らなければいけないルールはたくさんある中で、特に重大事故につながりやすいものに重点を置いた感じになっています。
出典 : 福岡県警察ホームページ 小倉南交通安全速報 R4-6.pdf (pref.fukuoka.jp)
一番変化があったところといえば、ヘルメットの着用が大人も対象になった点です。
現段階では “努力義務” という扱いになっていて、「守らなくても特に罰則はないけど、守る努力はしてね。」と自発的な行動を呼びかけるものになっています。
今では信じられない話ですが、昔は自動車でも後部座席に限らず、運転席や助手席も努力義務となっていた時代がありました。将来的には自転車のヘルメット着用も義務化されて、違反者には罰金が科される時代がくるかもしれません。
取り締まりの強化
自動車安全利用五則が改定される少し前から、警察の取り締まりが強化されていたことをご存じでしたでしょうか? 私は全然知りませんでした💦
具体的には【信号無視】【一時停止違反】【右側通行】【徐行しないで歩道を走行する】の4点です。
「取り締まりの強化っていっても注意で済むんでしょ?」と思ったかたもいると思いますが、それは大きな間違いです。確かに以前なら警告で済んでいましたが、現在では前科がつく恐れのある「赤切符」の対象になります。特に悪質性がある場合にはなりますが、これをもらった時点で “知らなかったでは済まされない” 犯罪を犯してしまったことになります。
もう一つ、自転車には反則金を納めれば解決?する「青切符」は存在しません。そう考えるとなかなか厳しいルールになっていますね。
信号無視
先に挙げた4点について補足していきます。
自転車の従うべき信号は、歩行者用信号機ではなく車両用の信号機になります。
🚥や🚦のタイプのものですね。
「そんなことは分かってる」と思ったかたにクイズです。前方の信号機が赤であった場合、AとBどちらで止まって信号待ちをするのが正解でしょうか?
Bと答えたかたは “残念” 不正解です。赤信号のルールは停止線を超えて先に進んではいけないことになっているので、この場合はAが正解になります。停止線がない場合は横断歩道や自転車横断帯の直前で停止するようにしなければなりません。
もう一つ間違えやすい例として挙げたいのが歩車分離式やスクランブル式の信号機の場合です。歩行者と車両で信号機の変わるタイミングをずらすことで、事故発生の低減の効果があるものです。
信号待ちをしていて、歩行者用信号が青になったタイミングで発進すると、車両用の信号機は赤のため信号無視になってしまいます。
出典 : 警視庁ホームページ 自転車の交通ルール 警視庁 (tokyo.lg.jp)
一時停止違反
信号のない交差点などで、一時停止の道路標識があるところでは、車と同様に一時停止をしなければいけません。
車でも完全に一旦停止をしないと違反になるのと同じで、誰が見ても分かるように一旦自転車から降りて確認するようにすれば、指摘を受けることはないはず……。
徐行しないで歩道を走行
歩道は原則として自転車は走行できませんが、以下の場合は歩道を走行しても良いことになっています。
・13歳未満の子どもや70歳以上の高齢者、体が不自由な人の場合の、車道を走るとかえって危険が生じる場合
・標識で走行可となっている場合
・道路工事や駐車している車両があったりして、避けて通らざるをえない場合
しかし、あくまで優先されるのは歩行者の方で、走行するにしても十分な配慮が求められます。
走行するときのスピードは、すぐに止まる事のできる(目安は10km/h以下)の徐行はもちろんのこと、歩行者に近づいたら一時停止をするように心がける必要があります。
ここは意外と知らない人が多いと思うので、しっかり覚えておくようにしましょう。
道路交通法での危険行為
自転車の危険行為に対して、道路交通法では15項目に分類されています。もともとは14項目でしたが、2020年6月30日に妨害運転(あおり運転)が追加されました。
出典 : 奈良県警察ウェブサイト 自転車運転時の危険行為について | 奈良県警察本部 (pref.nara.jp)
自転車の妨害運転
わざと蛇行を繰り返して進路を妨害したり、割り込んで急ブレーキをかけたりするのはもちろんですが、ベルを不必要に鳴らす行為も妨害運転に入ります。
自転車のベルは、車でいうクラクションと同じ扱いで、”警笛ならせ” の標識や、危険を回避するため “やむをえず” 鳴らす以外の使用は認められていません。歩行者に近づいた時に “チリンチリン” と鳴らすのも、もちろん違反になります。
違反した場合のペナルティー
赤切符
見た目が赤い(ピンクっぽい)見た目で赤切符と呼ばれているもので、後日 「出頭通知書」が記入した連絡先に届き、指定された期日までに出頭しなければいけません。
赤切符は刑事事件として扱われるため、「自転車だから」と甘く考えず、指示に従うようにしましょう。
危険運転が原因で歩行者にケガを負わせたなど、よほどのことがない限り罰金が生じる可能性は低いですが、警察の記録にはちゃんと残ります。
自転車運転者講習制度
最初の赤切符をもらってから、3年以内にもう一枚赤切符をきられる危険運転をしてしまった場合、「自動車運転者講習」を受ける必要があります。(命令書が交付されてから3か月以内)
内容の詳細は不明ですが、講習が3時間となっていて費用が6000円かかります。事実上の ”罰”ということですね。
ちなみに命令を無視すると、もれなく5万円の罰金を徴収されます。 “高い”と思いますが、本来の自転車の危険運転に科せられる罰金が5万円以下が多いことを考えると(酒酔い運転なら100万円以下)これは刑事罰を受けるのと同等と考えれば、納得していただけると思います。
引用 : 警視庁ホームページ 自転車運転者講習制度 警視庁 (tokyo.lg.jp)
自転車指導警告カード
通称 自転車イエローまたはレッドカードと呼ばれていて、地域によって形態はさまざまですが、何について違反したのかチェックを受けるのは共通です。
※一例です。
これについては、あくまで警告という段階なので、お説教以外の罰は特にありません。ですが、”赤切符をきられる一歩手前” と考えて、今後の運転に生かさなければいけません。
あとがき
自転車は運転免許がいらず、気軽に乗れる便利なものですが、ここでは紹介しきれなかったルールもまだまだたくさんあり、そのボリュームは「原付免許とそんなに変わらない」と感じています。
自分だけでなく、ご家族の運転にも「本当に大丈夫?」と見つめ直す機会になってくれればと思いつつ、今回はこれまでとさせていただきます。